流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)について

こんばんは、院長の村上です。

皆さんは子どものころに「おたふくかぜ」にかかったことはありますか?
私は、たしか小学2年生か3年生のころにかかって、数日顎が痛くて、ご飯があまり食べれなかったことをなんとなく覚えています。
というわけで、今回はおたふくかぜについて簡単にご紹介したいと思います。

・流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)とは?

ムンプスウイルスの感染が原因でおこるウイルス感染症の一種です。両側の耳の下や顎の下が腫れておたふくのような顔になるため、おたふくかぜとも呼ばれます。
・症状は?

発熱や両耳の下(耳下腺)・両顎の下(顎下腺)の腫れ、喉の痛みを訴えて受診されます。ごはんを食べるときにモグモグすると痛みが増強するため、痛みでご飯を食べなくなる子もいます。
・どうやって感染するの?

飛沫感染(くしゃみや咳)、接触感染(病気の子を触る)で感染します。予防にはマスクが有効です。感染力はかなり強いですが。30%くらいの子は感染しても症状が出ない(不顕性感染)といわれています。
・流行しやすい季節は?

特に流行しやすい季節はありませんが、ときどき保育園などで流行ることがあります。
・診断は?

インフルエンザ等で使われるような迅速診断キットはありません。
確定診断のためには、血液検査でムンプスウイルスの抗体価を測る必要があります。しかし結果が出るのに1週間近くかかるので、結果が出た時にはほとんどの人が治っています。

ですので、確定診断ではないですが、発熱や耳下腺・顎下腺の腫脹、周囲での流行があり、血液検査でアミラーゼ(耳下腺や顎下腺ダメージを受けた時に上がる物質)の値が上がっているを確認できれば、おたふくかぜと診断しています。

ただし周囲での流行がないと診断は難しく、「おそらく、おたふくかぜだと思います」というあいまいな診断になってしまうことが良くあります。
・合併症は?

①髄膜炎
1%くらいの頻度で髄膜炎を合併することがあります。特別な治療はありませんが、それほどひどくならない子が多いです。

②精巣炎
思春期以降の男の子が感染すると、2-3割と比較的高頻度に精巣炎を合併します。精巣の痛みと腫れを伴います。耳下腺の脹れが良くなってから1週間くらいたって発症することもあるため注意が必要です。

③難聴
頻度は非常に低いですが、おたふくかぜが治ってから難聴を起こすことがあります。
おたふくかぜにかかった後に、耳の聞こえが悪いような時はご相談ください。耳鼻科の先生にご紹介させていただきます。
・治療は?

ウイルス感染なので、特効薬はありません。
痛み止めの薬を使いながら、自分の体の免疫力で治すしかありません。
・予防法は?

ワクチンが開発されています。
1歳以上になると打てるので忘れずに打ってあげてください。
ちなみに水ぼうそうとは異なり、おたふくかぜの子に接触した直後の緊急ワクチン接種はあまり効果がないと言われています。

また普通の風邪と同様にマスクや、手洗いうがいが有効です。
・登園、登校の基準は?

症状が出始めてから5日間はお休みしてください。
5日以上たって症状がよくなっていれば、登園・登校可能です。
治癒証明書が必要な場合が多いです。

ご不明な点があればお気軽にご相談ください。

ペンギン先生
ペンギン先生
「おたふくかぜ」の確定診断は難しいよ!
症状や流行状況、アミラーゼの値などで総合的に判断するよ!
大きい子がなると合併症を起こすことがあるので注意しよう!

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